投資家なら香港デモを見て1分間で1億4000万円を使う米国の人権侵害を思い描こう

私は中国にも米国にも味方という立場ではない。

 

ただ香港のデモ隊が星条旗を掲げて人権侵害や自由を求める行動は、アフガンや中米の方たちに配慮が足りないと思う。中国の人権侵害は、事実であればもちろんやってはいけないが、米軍の人権侵害も想像を絶するのだから。

 

 

ベトナム戦争反戦デモの惨事

1970年5月 ケント州立大学で4人 ジャクソン州立大学で2人が、警察隊と国家警備隊の銃撃により死亡している。1971年8月 メキシコ系アメリカ人の反戦集会に対し警察が銃撃、3人が死亡している。

同じ年にはたった3日間で1万4000人が逮捕された。

香港デモの若者が星条旗を掲げる。その姿をみて自由と民主主義のための戦いだと高揚する日本人たちは、こんな米国の歴史は微塵も浮かんでいないだろう。

 

 

9.11を悲しむのにアフガニスタンを悲しまない

アフガニスタンは、別にウサマ・ビン・ラディンを隠したわけではない。彼が9.11テロの容疑者であるという証拠を求めただけだ。

しかし米国は戦争を避けるあらゆる交渉を拒否し、アフガン空爆によって対テロ戦争は始まった。

当時アフガニスタンは大変な飢饉がおきていて、世界食糧計画(WFP)は9.11よりも前に、2001年には50万人から100万人が餓死すると推計していた。

米軍はそこへ軍事行動をとった。アフガン空爆によって食料物資の供給は中止になり、間違いなく世界貿易センタービル崩壊の何倍もの人々を殺す結果になった。

 

9.11はあってはならない。
しかし、9.11を悲しみ、アフガンを悲しまないのは無自覚の大罪としか言いようがない。

 

人権を踏みにじっていると中国を非難する足元で、ケタ違いの人権を踏みにじっているのは私達西側の民主主義国家だ。

 

こういった軍事介入を、米国は200回以上も行っている。
催涙弾の被害を晒してニュースに怒る前に、怒るべきものはとっくにある。

 

 

例えば

 

朝鮮半島 1950年~53年

450万人の朝鮮人を殺し、半島の建造物をほとんど廃墟にした。犠牲者の4分の3は一般市民だったが、5万4000人の米軍兵も死亡した。

 

 

ドミニカ共和国 1965年

アメリカの支援をうけた反体制側が政権を奪取したが、もともと選挙で選ばれていた大統領をドミニカ人は復活させよう運動を起こした。それを押さえつけるために、米軍は首都サント・ドミンゴで市民を3000人殺している。

 

 

ベトナム 1964年~73年

アメリカ軍が投下した爆弾の量は、ベトナム人一人あたり250キロ。40万トンのナパーム弾が落とされ、枯葉剤や有毒除草剤が農地や森を破壊し尽くした。

 

 

レバノン 1982年~83年

イスラエルとファランジ市民軍が、レバノンに侵攻し2000人のパレスチナ人を殺していたときも、米軍は直接彼らに味方し介入した。

 

 

グレナダ 1983年

レーガン大統領は、たった11万人しかいない国を米国の安全保障の驚異とし、グレナダを制圧し米国よりの政権と取り替えた。このときの国務長官はベクテル社の社長も努めた。世界最大のゼネコン企業だ。

 

 

リビア 1986年

石油の利権を低価格でスタンダードオイルに譲っていた独裁者イドリス国王。彼を追放したカダフィを排除するため、米国は罪をでっちあげた。

1986年にドイツでおきた米兵に対する爆弾攻撃事件をリビアのせいだとこじつけたのだ。

レーガン大統領はリビア攻撃を命じ首都トリポリを爆撃。100人の市民が殺された。しかし後になって、この事件はリビアに責任がなかったことを米国は認めている。

 

 

中央アメリカ 1970年代~80年代

独裁政権を倒そうと市民が立ち上がっていた。サンダニスタ革命などだ。

国防総省とCIAはそれらの国の警察や軍隊等に武器を与え訓練し、ニカラグア、エルサルバドル、グアテマラなどで何十万もの農民を殺す手伝いをした。

 

 

その他

少し古いが1898年~1934年に、米国はキューバを4回、ニカラグアを5回、ホンジュラスを7回、ドミニカ共和国を4回、ハイチを2回、グアテマラを1回、パナマを2回、メキシコを3回、コロンビアを3回侵略している。

ペルー、フィリピン、メキシコ、プエルトリコ、グアムでも同様のことはおきた。

米軍が腐敗した正規軍や私兵を支援し、村を焼き尽くし、労働組合や政治家を何百万も殺してきた。例えばフィリピンでは60万人の人々が殺され、まるでアニメのように積み上がったフィリピン人骨の山に立つ米兵の衝撃的な写真などがある。

南アフリカでもアパルトヘイト政策を取る政権と手を組んでいたし、米国は何百万もの農民を殺した退役軍人などの部隊の後援者となった。

 

 

対テロという建前

ソ連がアフガンに侵攻した1979年、CIAはパキスタンやサウジアラビアと連携しムジャヒディンゲリラに武器供与や資金を与え、10年戦わせた。このときCIAに協力した一人が、オサマ・ビン・ラディンだ。

メディアはサウジアラビアのカショギ氏暗殺を許しがたいと非難しているがCIAと国防総省は世界中で毎日のように殺していると思われる。しかし、めったにニュースにはならない。

 

世界中にCIAが育てたテロリストなんてごろごろいる。

たとえばルイス・ポサダ・カリレスと、オーランド・ボッシュは、73人が亡くなったキューバ民間航空機爆破事件の首謀者だ。

ポサダは裁判の前に脱走しCIAから支援をうける勢力で武器を供与する仕事についた。ボッシュはマイアミで船にバズーカを撃って有罪になったけど、父ブッシュが恩赦を与えて家ももらってフロリダに住んだ。

1997年ハバナの観光地を空爆、2000年にはカストロを暗殺未遂、なども米国に養成されたテロ組織だろう。こういったやつらの隠れ家はフロリダのマイアミにある。

 

 

米国を担いで中国を批判する正義は破綻している

9.11でアフガニスタンを空爆するとなったとき、一体どれほどの人の脳裏に、じゃあフロリダも空爆するのか?という皮肉が浮かんだだろうか。

 

ベトナムも、グアテマラも、ゲリラが農民を装っているのだから殺して良かったという人もいるだろう。でも疑わしいウィグル市民を連行すると言う中国と、一体何が違うのか?

 

米国の上下院議員はどんな顔して中国を叩いてるいるのだろうか?

 

ウィグルの件で中国を批判する人の脳裏に、米軍が行ったニカラグアの殺戮を思い出しながらツイートしてるひとがほとんどいないのはとてつもない偽善だ。

 

ロシアと思われる所属不明の軍隊がどこかへ侵攻すればすぐに世界中でニュースになるが、日本や香港人のほとんどは米軍の軍事介入の200分の1すら意識せず「ロシア最悪」って言うだろう。プーチンは、オリバーストーンとの対談のときそれがおかしいって言ってたけど、当然の気持ちだ。

 

香港の若者は自由のために民主主義を勝ち取りたいようだが、よく見れば民主主義国家もプロパガンダは十分ある。

 

 

誰が損をしているのか

 

米国の人権侵害はなにも侵攻した外国だけに行っているのではない。

 

国内にもやっている。

 

米軍の2020年会計年度の国防予算は、7180億ドル。
これは1分間で、1億4千万円以上使っていることになる。

 

まあまずニュースにはならない事だ。
だから自分で計算した。

 

その金は、普通の人の税金だ。
1世帯あたり年に5000ドル以上を支払っている計算になるのだから、生活が苦しい市民がいるのは当たり前。

 

だから幼児や妊婦の死亡率が異常に高いという惨劇を招く。つまり妊婦は定期検診サービスすら受けられないのだ。教育も、ホームレス対策などの分野でも同じだ。

 

数百万のひとが薬物中毒やアルコール中毒になったり、家庭崩壊して地域が荒れても、公共施設は全く足りない。治療すらままならない。

 

1分間に1億円以上使っておいて、公共の助けを必要とするひとに「自己責任」だと切り捨てるのは少々無理があるだろう。

 

 

誰が得をしているのか

私がこういう歴史やからくりを最初に知った当時、こう思った。

 

いったいこんなことをして誰が得をするのか?
色々調べると、結論としては国防総省と契約している10万社の企業だった。

当時私は、こういう軍事産業やグローバル企業が好きではなかった。悪の巣窟だとおもっていた。ただし、今は軍事産業を叩く気はない。ついでに言えば支配者層も批判する気もない。

 

 

投資家がやるべきこと

それは彼らのとってきた合理的な行動が、人々や社会を支えている一面も知るようになったからだ。同時に、メディアの情報はいつでも不十分で、人々はいつでも頭が雑だとも思う。

 

人々はいつでも、質の悪い情報と雑な思考で、よく理解せず結論を出す。

 

例えば、リーマンショック、金融機関を税金で救うなという主張が正しいと思っている人は多いが、とんでもない誤解だった。人々の間違った反発が、流動性を確保させる案を米議会で否決においやった。(この否決直後からマーケットは大暴落している)
当時、救済したほうが圧倒的にコストが安いということはもうわかっていた。1990年頃だが初めて体系的にそれを論文にしたのは後に米国経済を立て直したバーナンキだった。

 

私としては、今のGAFA潰しなども、人々は自ら自分たちの首を締めている。

 

何が言いたいかというと

 

今目の前に現れた情報だけで、全体を論じよう、あるいは全体を把握しようとするのは間違いだということだ。中国も悪いが、米国もそれ以上にひどい。軍事産業は人々をスローガンで騙し利権を貪る一方で、大衆の結論は大きな間違いを犯すこともある。支配者層は社会を安定化させていることもある。

このからくりに投資家は気がつく知識がないといけない。
ということだ。

 

 

自分たちの首を締める正義感

民主主義と自由を盲信するという西側の正義が、いかに人権を踏みにじって実現しているのか知っていれば、まるで潔白ぶって中国を非難することはできない。

 

そもそも実は独裁国家と民主主義国家による明確な経済成長率の差はないし、(ただし独裁国家は、成長率の波が激しくなる傾向はある)米国が中国に比べ、人権レベルが著しく高い政策をとっている状況でもない。

 

もちろん中国を養護する気はさらさらない。
もし中国のウィグル弾圧などが事実であれば、中国は当然、人権侵害を改めなくてはいけない。

 

しかし、西側の人間が、負い目を感じずに澄み切った眼差しで中国を叩いてる姿は、無自覚の大罪だ。それは目に写った出来事だけで全体を論じている間違ったプロセスの結果だ。ましてやアフガニスタンや中東、中米の地獄を何も考えず、星条旗を掲げ自由と民主主義を叫ぶこの異様さに、投資家であれば気がついているべきだ。